「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」留意事項の具体例

文部科学省初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームが、令和5年5月に、生成AIの学校現場での利用に関するガイドラインを夏前をめどに策定・公表するとしていた、ガイドラインが、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」として、文部科学省初等中等教育局より令和5年7月4日に出されました。

文部科学省「GIGAスクール構想の実現について」の新着情報にPDFファイルが掲載されていましたので、ご紹介します。

GIGAスクール構想の実現について:文部科学省

https://www.mext.go.jp/content/20230704-mxt_shuukyo02-000003278_003.pdf

「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」4.その他の重要な留意点の具体例

個人情報やプライバシーに関する情報の保護の観点

「アカウントを設定し、使い始める際、⼊⼒した指⽰⽂(プロンプト)が機械学習に利⽤されない設定とする」等、生成AIの設定を変更する記載があります。設定例を次に示します。

教育情報セキュリティの観点

「ChatGPT、Bing Chat、Bard等は、約款内容を踏まえて利⽤を判断すべき「約款による外部サービス」に分類される。」等、約款に関する記載があります。各生成AIに関連する約款等を次に示します。

著作権保護の観点

「⼀⽅、学校の授業では、著作権法第35条により許諾なく著作物の複製や公衆送信ができるため、教師や児童⽣徒がAIを利⽤して⽣成したものが、既存の著作物と同⼀⼜は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利⽤することは可能である。」と記載があります。

この記載は、学校の授業すべての利用ができるものではないことに留意が必要です。生成AIが生成した内容が使用禁止された内容を元にしている場合も考えられます。学校の授業で利用する際も、著作権法第35条に適用可能な内容かどうか授業者が確認する必要があると考えます。

各学校で⽣成AIを利⽤する際のチェックリスト

「AIを利⽤した成果物については、AIを利⽤した旨やAIからの引⽤をしている旨を明⽰するよう、⼗分な指導を⾏っているか」と記載があります。

ChatGPTでは、コンテンツの帰属について表記の例を挙げており、「ChatGPTで書かれています」と表記するように求めており、「ChatGPT によって書かれました」と表記することは禁止しています。一般的に引用する際は、「・・・によって」と記述しますので、ガイドライン違反になる可能性があることを留意しなければなりません。

まとめ

文部科学省初等中等教育局より、暫定的なガイドラインが出されましたが、暫定的なガイドラインに許可されているような表記があっても、例えば、ChatGPTは2022年11月にサービス開始したが、2023年3月14日に年齢制限を追加されたこともあり、開発企業が使用に関する条件を途中で変更することが考えられます。また、ある生成系AIは可能でも、他の生成系AIでは禁止されていることもあるでしょう。安易に、暫定的なガイドラインを鵜呑みにせずに一企業が開発したサービスを利用していることを忘れずに、生成系AIの利用の際には、約款をこまめに熟読する必要があると考えます。

OCTくん
OCTくん

機械学習してAIは賢くなっていくのに、使えるだけ使わせてもらって、機械学習させることは禁止の方向というのは、開発者に失礼じゃないのかなと独り言。

数年後にAIが新たに学習することなく、古い情報しかない!とならない未来になることを期待します。

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