2020年6月12日に、文部科学省「教育の情報化に関する手引(追補版)」が公表されました。新学習指導要領に対応した「教育の情報化に関する手引(令和元年12月)」の追補版となります。
GIGAスクールに関する内容や、授業目的公衆送信補償金制度などが追記されていることに加え、特別支援教育におけるICTを活用した学習場面のイラストが追加されていることが特徴といえます。
この機会に、「教育の情報化に関する手引(令和元年12月)」を読んだ方も、読んでいない方も、「教育の情報化に関する手引(追補版)」を読んでみてはいかがでしょうか。
特別支援教育におけるICTを活用した学習場面のイラスト
特別支援教育におけるICTを活用した学習場面のイラストは、「教育の情報化に関する手引(追補版)」の第4章第4節 特別支援教育におけるICTの活用(P152~)に追記されています。
聴覚に障害のある児童生徒
聴覚に障害のある児童生徒の学習環境面と聞こえの困難さに対する支援が描かれています。
環境面では、黒板に加え、グラフ等の板書が難しい資料を表示した大型ディスプレイや、ランプ式のチャイム、校内放送等にも利用できる文字情報サブモニタが描かれています。机の配置は、児童生徒がお互いに手話表現や口元が見えるような馬蹄形になっています。
学習場面の様子では、モニターのグラフを見ながら説明を振り返って考えている生徒、先生とやりとりしている生徒、個別のノートパソコンを指さしながら2人で相談している生徒たちなどの多様な学習場面が描かれています。
生徒の机上には、教科書、ノート、ノートパソコンが準備され、ICT機器は、情報保障や考えるための手段として、従来の学習に加えた利用であるように見えます。また、卒業後の仕事、まとめる活動、文章表現をする大切さなどを考慮し、タブレットに加えノートパソコン利用の可能性も伺われます。
発達障害のある児童生徒
タブレット上のノートとソフトウェアキーボードを用いて書いている児童生徒と、鉛筆とノートを用いて書いている児童生徒が描かれています。書字の困難さ等、困難さに対する個別の支援がされている様子に見えます。
視覚に障害のある児童生徒
色をスマートフォンで認識させ音声で知る児童生徒や、黒板の内容を見やすくするためにタブレットを利用して文字を拡大している児童生徒などが描かれています。特別な機器だけではなく、スマートフォンやタブレットの機能も選択肢になることが示唆されているのではないでしょうか。
知的障害のある児童生徒
実践事例に掲載されている「テレビ電話アプリを使った交流及び共同学習」の様子が描かれています。
肢体不自由のある児童生徒
実践事例に掲載されている「自分の好きなメロディーを作ろう」の、楽器の演奏をしながら作曲するために、操作が可能なタブレットを用いている様子が描かれています。
病気療養中の児童生徒
実践事例に掲載されている「TV 会議システム・リモート顕微鏡を活用した理科観察実験」の、いろいろな考えを知るために、TV会議システムを使用して、他の教室の児童生徒とやりとりをしている様子と、病気の特性から直接できない実験を遠隔上で行うことが描かれています。
その他、重複障害等のある児童生徒
補聴システムを利用している様子と、実践事例に掲載されている「VOCA を使って他者との関わりを増やす」のコミュニケーションを図ること等をねらいVOCAを利用している様子が描かれています。