「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会 SARTRAS」が公開している、「授業目的公衆送信補償金制度」の情報公開ページに、授業目的公衆送信補償金制度に関するFAQが掲載されていますが、先日、情報の更新と、キーワード検索できるようになっていましたので、ご紹介します。
例えば、2020年5月16日に、絵本の読み聞かせについて、「注 絵画のうち絵本については、1冊で1著作物とされているため、原則として小部分の利用(改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版))」とされているものに関連して、次のような具体的な事例が掲載されています。
「私が担任する児童生徒向けに絵本やパネルシアターの読み聞かせを撮影した動画を配信したいのですが、できますか?出来る場合、何に注意すればよろしいですか」
運用指針では、絵本に収録された一つのお話しの文と絵の「小部分」であれば補償金制度の対象としています(パネルシアターや紙芝居も同様と考えられます)。しかし、いつでも何度でも園児や生徒が見られる状態に絵本のお話しの絵と文の「すべて」の読み聞かせ動画をアップしてしまいますと、著作権者の利益を不当に害する可能性が高く、制度の対象外となると考えられます。このため、お話しの絵と文の「すべて」の読み聞かせを配信されたい場合には、必要な権利者の許諾を得て行ってください。
https://sartras.or.jp/newfaqs/yomikikase/
なお、初等教育(幼児保育を含む)において、ウェブを用いたストリーミング授業で、あなたが担任するクラスの児童生徒にだけ、同時送信して読み聞かせを行うだけであれば、一つのお話の絵と文のすべてを読み聞かせることは、制度の対象と考えられますが、著作権者の利益を不当に害する場合は利用できないので、著作権者あるいは出版社にご確認ください。生徒がアクセスできるサーバーにアップロードしておいたり、添付ファイルで生徒に送信することは、著作権者の利益を不当に害するケースに当たり、制度の対象外になります(権利者の許諾が必要です。)。
適切な著作物の利用をするための疑問に答えていただけるページができたことはとてもありがたいことですね。
絵本の読み聞かせ(動画配信)等の出版社への許諾申請の例
例えば、「はらぺこあおむし」の絵本を出版している「偕成社(かいせいしゃ)」では、「著作物の利用について」のページを設けて、許諾申請の必要の有無や、問い合わせ先を公開しています。
なお、「はらぺこあおむし」については、ペンギン・ランダムハウス社及び翻訳者(偕成社が窓口)に許諾申請をすることで、期間限定(2020年6月まで)で動画配信が許可されるようです。