特別支援学校に関連する大学の受験資格について

特別支援学校に関連する大学の受験資格について調べてみました。

大学入学資格

大学入学資格は、文部科学省のページにまとめられています。「入学資格」であることに留意してください。

1.高等学校又は中等教育学校を卒業した者(法第90条第1項)
2.特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm

第九十条 大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

学校教育法 第90条第1項

なお、「通常の課程」とは、特別支援学校の高等部を修了した方、高等専門学校第3年次を終了した方とされています。

ここでいう「通常の課程」とは、昭和 29 年の学校教育法改正前の同法第 44 条の規定
(※)に由来しており、通常必置でありかつその授業が昼間に行われる最も基本的な課程を指しています。そのため、現行法上は、特別支援学校の高等部を修了した方及び高等専門学校第 3 年次を修了した方がこれに該当します。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/__icsFiles/afieldfile/2019/06/06/1222303_001_1.pdf

大学入学共通テスト出願資格

大学入学共通テスト出願資格において、高等学校(特別支援学校の高等部を含む。)と明示されています。

令和5年度 受験案内(PDF形式) | 独立行政法人 大学入試センター
大学入学共通テストの概要、最新試験情報、英語リスニング、共通テスト参加大学情報、共通テストQ&A、検定料等の返還請求などに関する情報を掲載しています。

大学の受験資格

記載の多い例を次に挙げて関連情報を示します。

大学の受験資格に特別支援学校(高等部)卒業者が含む例

次の項目のいずれかに該当する者

  1. 高等学校(中等教育学校を含む)を卒業した者およびxx年3月に卒業見込みの者。
  2. 通常の課程による12年の学校教育を修了した者およびxx年3月に修了見込みの者。
  3. 文部科学大臣の定めるところにより、上記1または2と同等以上の学力があると認められた者。またはxx年3月までにこれに該当する見込みの者。

高等学校(中等教育学校を含む)を卒業した者およびxx年3月に卒業見込みの者。

第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

学校教育法 第1条

この表記は、学校教育法における学校の、高等学校、中等教育学校の2つを示しているものと考えられるため、特別支援学校(高等部)は含まないと考えられます。

なお、義務教育学校は、いわゆる小中一貫校(修業年限9年)であり、中等教育学校は、中高一貫校(修業年限6年)のことです。

通常の課程による12年の学校教育を修了した者

ここでいう「通常の課程」とは、昭和 29 年の学校教育法改正前の同法第 44 条の規定
(※)に由来しており、通常必置でありかつその授業が昼間に行われる最も基本的な課程を指しています。そのため、現行法上は、特別支援学校の高等部を修了した方及び高等専門学校第 3 年次を修了した方がこれに該当します。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/__icsFiles/afieldfile/2019/06/06/1222303_001_1.pdf

この表記の「通常の課程」は、特別支援学校(高等部)が含まれているものと考えられます。

文部科学大臣の定めるところにより、上記1または2と同等以上の学力があると認められた者

「文部科学大臣の定めるところ」とは、学校教育法に関連する法令をみていくと、学校教育法施行規則が文部科学省令に当たりますので、学校教育法施行規則で定められている内容と考えられます。第150条に該当する者が挙げられています。

第百五十条 学校教育法第九十条第一項の規定により、大学入学に関し、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。(略)

学校教育法施行規則 第150条

大学の受験資格に特別支援学校(高等部)卒業者が含む例(まとめ)

上記の3点が挙げられている例では、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(第3年次)の学校を卒業・修了した者。または、学校教育法施行規則第150条に該当する者と考えられます。

大学の受験資格に特別支援学校(高等部)卒業者が含まれないと考えられる例

次の項目に該当する者

  1. 高等学校もしくは中等教育学校を xx年3月に卒業見込みの者および xx年3月に卒業した者。

大学の受験資格に特別支援学校(高等部)卒業者が含まれないと考えられる例(まとめ)

上記の例では、高等学校、中等教育学校のみが明示されているため、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(第3年次)等は含まれないと考えられます。この受験資格は、高等学校もしくは中等教育学校の学校長の推薦が条件に加わり、推薦型選抜に見られることが多いと感じます。

特別支援学校に関連する大学進学について

特別支援学校(高等部)卒業者は、学校教育法第90条第1項に明記の通り「大学に入学することのできる者」とされ、「大学入学資格」があることが法令で定められています。

ただし、大学の受験資格は、各大学が決定するものであり、大学もしくは選抜区分によって受験資格を得られないこともあります。

将来なりたい職業や、学びを深めることに向けて、進学を考えている大学がある場合は、大学の受験資格は大学が定めるものであるため、該当の大学に問い合わせることが近道と考えます。

(補足)高等学校卒業程度認定試験について

大学進学を考える際、高等学校卒業者と同等の学力があることを証明する手段として、「高等学校卒業程度認定試験」に合格することを考えることもあると思います。

しかし、特別支援学校(高等部)を卒業すると、大学入学資格を得られます。そのため、「高等学校卒業程度認定試験」の受験資格もありません。

受験資格
16歳になる年度から受験できる。ただし、既に大学入学資格を有している場合は受験できない。
※従前の大学入学資格検定では認められていなかった、全日制高等学校等の在籍者にも受験資格を付与している。

文部科学省 高等学校卒業程度認定試験

「高等学校卒業程度認定試験」は、大学・短大・専門学校の入学資格を得るためのものであるため、特別支援学校(高等部)を卒業した時点で、大学入学資格を得られているため、必要のない試験となります。

趣旨
(前略)就職・資格試験等においても高校卒業者と同等に扱われるよう、経済界等に働きかけ、社会的通用性を高めるよう努めている。(後略)

文部科学省 高等学校卒業程度認定試験

就職においては、特別支援学校(高等部)卒業者は、学歴上「特別支援学校高等部卒業」であり、雇用条件が企業によって中卒扱いとなることがあることから、高校卒業者と同等に扱われるための認定制度として在学中に受験することが考えられるでしょう。

また、高等学校在学中も受験資格があるため、何らかの理由で高等学校の在籍が難しくなった場合に、本試験に合格することで中途退学しても大学受験をすることが可能になります。なお、学校長の判断により、合格科目を卒業単位として認定することができるため、長期欠席時等の卒業単位取得手段としての可能性もあります。

特別支援学校における学力保証、長期欠席時等の対応においては、学校が認定、対応できることが理想だと個人的に考えますが、本試験のような他の手段を活用することも選択肢としてあってもよいとも考えます。

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