大学における合理的配慮の考え方

令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました。そこで、関連する情報を集めてみました。

法令

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)(施行日:令和6年4月1日)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000065

第八条二 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(施行日:令和4年6月17日)

第八条二 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(施行日:令和6年4月1日)

合理的配慮の提供が義務化リーフレット

内閣府「リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」」

リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」 - 内閣府
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的...

文部科学省所管事業分野(大学等)

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について

文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の策定について:文部科学省

高等教育段階(大学等)

障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)

大学等における合理的配慮について、(1)機会の確保、(2)情報公開、(3)決定過程、(4)教育方法等、(5)支援体制、(6)施設・整備の項目で項目別に整理されています。

障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)について:文部科学省

障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)について

「合理的配慮」の定義、「事前的改善措置」の定義、「建設的対話」の定義

「合理的配慮」の定義、「事前的改善措置」の定義、「建設的対話」の定義が示されています。

1.「合理的配慮」
 障害者権利条約及び障害のある学生の修学支援に関する検討会第一次まとめの定義に基づく。

(障害者権利条約 第2条)
 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

(障害のある学生の修学支援に関する検討会 第一次まとめ)
 大学等における合理的配慮とは、「障害のある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、大学等が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある学生に対し、その状況に応じて、大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、かつ「大学等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」

2.「事前的改善措置」
 施設や設備のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等、環境の整備を行うこと。

3.「建設的対話」
 障害のある学生本人の意思を尊重しながら、本人と大学等が互いの現状を共有・認識し、双方でより適切な合理的配慮の内容を決定するための話合いのこと。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html
大学における合理的配慮の考え方

合理的配慮の考え方が示されています。

合理的配慮とは、大学等が、個々の場面において、障害のある学生から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を行うことを意味する。言い換えると合理的配慮は、「障害の社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害のある学生の個々の必要に応じ、過重な負担を伴わず、社会的障壁を除去し、障害のある学生の意向を十分に尊重し、大学等の本来の業務に付随し、障害のある学生の機会を平等にするもので、事柄の本質を変更しないものをいう。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html
障害者の定義

障害者基本法及び障害者差別解消法では、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義し、社会的障壁については「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」としている。
 また、障害者差別解消法に基づき閣議決定された基本方針では、同法に定義する障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、「障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとする、いわゆる『社会モデル』の考え方」を踏まえており、「したがって、法が対象とする障害者の該当性は、当該者の状況等に応じて個別に判断されることとなり、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。」とされている。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html
当該学生に対する大学の自主的な合理的配慮に関する取組

 合理的配慮は、障害のある学生本人の意向を尊重しつつ、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要がある。建設的対話に当たっては、障害のある学生にとっての社会的障壁を除去するための必要かつ実現可能な対応案を当該学生と大学等が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。例えば、障害のある学生本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、大学等が対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる。また、障害のある学生が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、大学等が当該学生に対してより適切と思われる合理的配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html
障害のない学生を前提として構築された大学の仕組みや構造

障害のない学生を前提として構築された大学の仕組みや構造が、障害のある学生にとっての社会的障壁となっている場合がある点の記述があります。

本来大学等は、全ての学生が平等に「教育を受ける権利」等を享有・行使できる場である。しかしながら、「障害の社会モデル」の考え方に基づくと、障害のない学生を前提として構築された大学等の仕組みや構造が、障害のある学生にとっての社会的障壁となっている場合がある点に留意が必要である。
 よって、各大学等では、障害学生支援の現場に関わる教職員のみならず、大学等の構成員全てがこのことを理解し、事前的改善措置や合理的配慮の提供により社会的障壁を除去するとともに、各種学生支援リソースも総合的に活用しながら、平等な学びが得られる教育環境の実現に向けて取り組むことが必要である。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html
障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)について:文部科学省
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